越夏ワシカモメ
2016年6月30日に釧路市内でワシカモメの若い個体を観察しました.
ワシカモメは,カムチャツカ半島やアリューシャン列島などで繁殖し,北海道には冬鳥または旅鳥として渡ってきます.しかし,北海道東部では少数の個体が夏期になっても北の地方へ戻らずに,越夏することが知られています.
2014年8月には知床の羅臼町でワシカモメの若い個体が標識され,翌年2015年8月に同個体が根室市で観察されました.
さらに,道北の利尻島では2005年から2010年にかけてワシカモメとオオセグロカモメの交雑つがいの繁殖が記録され,ヒナも確認されました(風間他2011).
夏期はオオセグロカモメとウミネコしかいないという固定観念を捨て,カモメ類を注意深く観察することで,意外な発見ができるかもしれません.
文献:風間健太郎・平田和彦・佐藤雅彦(2011)利尻島におけるオオセグロカモメ×ワシカモメ交雑繁殖つが
いの観察記録.日本鳥学会誌60(2):241-245.