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ケイマフリは全長38cm、翼開長70cmで、夏羽では全身黒く赤い脚が特徴的なウミスズメの仲間です。一年中比較的浅い沿岸で過ごし、イカナゴやカジカ、カレイを食べます。夏季には哺乳類が近づけない断崖のある海岸や島で繁殖します。ケイマフリは日本海、オホーツク海近海の沿岸にしか生息しない分布域の狭い海鳥で、日本では過去50年ほどの間に激的に数を減らしてきたと考えられています。そのため、環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に選定されており、保全が求められています。

このような状況にあるケイマフリですが、実は国内でどこにどのくらいのケイマフリがいるのかはこれまで調べられてきませんでした。また、ケイマフリがかつてどこにいたのかについても完全には分かっていませんでした。そこで私たちは、まず文献と標本情報、また北日本のバードウォッチャーの情報を頼りに、ケイマフリのかつての生息地を明らかにしました。次に、2011~2014年にかけて、これらの生息地と生息可能性のある未調査地における現在のケイマフリの生息個体数を調べました。

 

その結果、1875年から2010年までには、国内で28の繁殖コロニーと6の繁殖が疑われるコロニーがあったことが分かりました。一方、2011年以降には14の繁殖コロニーと4の繁殖が疑われるコロニーがあり、その個体数は少なくとも1169個体、294巣と見積もられました。これらの結果を比較すると、これまでに既に19のコロニーがなくなっており、12のコロニーで個体数が減少していることが明らかになりました。一方、2011年以降の調査で新たに4つの繁殖/繁殖が疑われるコロニーを見つけることも出来ました。このように日本のケイマフリ個体群は、現在までにその個体数を大きく減少させてきていることが分かりました。


 

ところで、どのようなコロニーが消失してしまったのでしょうか?この問いに答えるべく、私たちは生息個体がいなくなってしまったコロニーがどのような特長(e.g., 緯度、海水温水温上昇の大きさ)を持っていたのかについても調べました。しかしながら、この解析では、「そもそもの生息個体数が少なかったコロニー」が消失していることが分かっただけで、残念ながらコロニーの消失に関連する重要な要因を明らかにすることは出来ませんでした。

日本にはかつてエトピリカやウミガラスという、今ではケイマフリ以上に数を減らしてしまったウミスズメ類も普通に繁殖していました。これらの減少は漁業活動の拡大によりもたらされた可能性が指摘されています。また、油田やタンカーからの油流失も彼らの脅威になりうると考えられています。ケイマフリの減少にも、漁業活動や開発が影響している可能性は残されます。ケイマフリの効果的な保全を進めるためには、今後ケイマフリ減少の理由を解明することが求められています。

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